楽天携帯事業参入について

楽天携帯がau回線にローミング(順次,楽天の自前回線に切り替え)

KDDI 2018年11月1日 ニュースリリース

「楽天が2019年10月より開始予定の第4世代移動通信サービス (LTE通信サービス) に対して、通信ネットワークを提供するローミング協定を締結」
「本協定は、提供期間を2026年3月末までと定め、その期間内に楽天は自前での全国ネットワーク建設を着実に進め、完成した地域から順次、自前ネットワークへ切り替えを行っていきます。」
「【ローミング予定エリア】
東京23区、大阪市、名古屋市を除く、全国エリア」

コメント

楽天モバイルはドコモ回線を利用するMVNOとして,ドコモの回線を借りて格安SIMサービスを提供しています(2018年11月現在)。

楽天の携帯事業参入はMVNOとしてではなく,ドコモ・au(KDDI)・ソフトバンクと同様に自前の回線や基地局を有するMNOになるという意味があります。MVNOはMNOの回線を借りているだけですが,MNOは自前でサービスを提供します。

楽天の新規携帯事業参入について,まだサービス名が正式に決定していないこと,楽天は格安SIMの事業として「楽天モバイル」を提供しておりこれと区別する必要があることから,この記事においては,新規参入する携帯事業について「楽天携帯」と表記します。

正式なサービス名が決定されるか,MVNOとしての楽天モバイルとMNOとしての携帯事業の区別に適切な表記方法について情報が更新された場合,本記事を書き換える場合があります。

(2018年11月2日現在)

MNO

(自前で回線・基地局等を整備)

NTTドコモ au(KDDI) 楽天携帯
New!
2019年10月~
ソフトバンク
ワイモバイル
MVNO

(MVNOから回線を借りるだけ)

※一例です

楽天モバイル
(ドコモ回線)

OCNモバイル ONE

楽天モバイル
(au回線)
2018年10月~

UQmobile
※KDDIグループ

ーーー

(そんなにない)

mineo(Dプラン) mineo(Aプラン) ーーー mineo(Sプラン)
BIGLOBE(Dプラン) BIGLOBE(Aプラン) ーーー

ーーー

LINEモバイル(ドコモ回線)

ーーー

ーーー LINEモバイル(ソフトバンク回線)
イオンモバイル(ドコモ回線) イオンモバイル(au回線) ーーー

ーーー

サービス開始時に全国でサービスを開始するために当初ドコモとのローミングが予定されていましたが,楽天モバイルはドコモの回線を借りているMVNOであると同時にドコモと同じMNOとなり競合関係に立つことになることから,ドコモとのローミングの条件で折り合わなかったと考えられます。

au(KDDI)回線へのローミングにはVoLTE対応端末が必要である可能性

2018年11月1日のKDDIのニュースリリースによれば,2019年10月の楽天携帯サービスの開始時までに,楽天は「東京23区、大阪市、名古屋市」は自前の基地局を整備し,その他はau(KDDI)回線にローミングするようです。

ニュースリリースによれば,LTEのローミングということなので,auの過去の遺産の3G回線(CDMA 1X WIN)(2018年11月7日新規受付終了)は利用されないでしょう。auは,2015年ころから,3Gに対応しない4G回線(LTE)のみを利用するスマートフォンを販売しており,世界的にマイナーな規格となったCDMA2000方式を停波させる方針です。

ドコモやソフトバンクは3GでW-CDMA方式を採用しており,W-CDMAは世界的に主流であることから,W-CDMA(3G)+LTE(4G)で問題ありません。

auは3GでCDMA2000方式を採用していたため,W-CDMA(3G)の基地局はありません。したがって,auは「VoLTE対応端末」では4Gのみで通信を行います。

よって,楽天携帯のエリア内(サービス開始当初は東京23区・大阪市・名古屋市)はどうなのかは分かりませんが,それ以外のauローミングの地域ではauのVoLTEに対応した端末が必要になると考えられます。

楽天携帯については,格安SIMの楽天モバイル(MVNO)の契約者を誘導することを考えていたと思いますが,auのネットワークの特殊性から,au VoLTEに対応した端末でなければ,楽天携帯のエリア外のauローミングの地域で通話が利用できないことになります。

もともとは楽天携帯はドコモ回線へのローミングが検討されていました。ドコモ回線は世界標準のW-CDMA(3G)+LTE(4G)のネットワークのため,対応する端末(スマートフォンなど)がとても多くなっています。ドコモ回線へのローミングが実現していれば,ドコモで販売されたスマートフォンおよびほとんどのSIMフリースマートフォンで楽天携帯が利用できたと考えられます。(もちろん楽天携帯自前の地域で通信するためには1.7GHz帯(Band 3)のLTEに対応している必要があるという条件があります。)

しかし楽天携帯がau回線へローミングすることになると,auのネットワークの特殊性から,au VoLTEに対応した端末が必要になる点に注意が必要です。

楽天携帯は4Gからの参入のため,仮にドコモとローミングする場合であっても楽天自前のネットワークで通話をするにはVoLTE対応が必要なため,いずれにしても,VoLTEへの対応は必要でしょう。

楽天携帯は,auローミングの都合上と,対応端末を広げて端末購入なしに加入するユーザーを増やすために,au VoLTEと楽天のVoLTEに何らかの互換性を持たせると考えるのが自然でしょう。(au VoLTEとドコモ・ソフトバンクのVoLTEが互換性があるのかどうかは分かりません。)

楽天携帯自前の地域は1.7GHz帯(Band 3)のみ

また,楽天携帯の基地局が整備できた地域は,順次,楽天携帯自前のネットワーク・基地局に切り替えていくとのことですが,楽天携帯への電波の割り当ては1.7GHz帯(Band 3)のみですので,楽天携帯自前のネットワーク・基地局に切り替わった地域は1.7GHz帯(Band 3)でしか通信できないことになります。

第4・第5のキャリア実現か、楽天やドコモが欲しがる「新たな周波数帯(1.7GHz/3.4GHz帯)」を解説してみた」(BUZZAP!) によれば,楽天携帯の獲得した周波数は「1.7GHz帯は、世界中の携帯電話事業者が採用している主要バンドの一つ「Band 3」」とのことですので,1.7GHz帯(Band 3)のLTEに対応する端末自体は多いと考えられます。

1.7GHz帯(Band 3)のLTEは,auが使用していない周波数帯ですが,例えば,auのXperia XZ (SOV34) は1.7GHz帯(Band 3)のLTEに対応しているため,楽天携帯自前の地域でも利用できると考えられます。

楽天携帯で利用するために必要なスマートフォンの条件

以上から考えると,楽天携帯で利用できる端末(スマートフォン)の条件は,①au VoLTEに対応した端末であり,②1.7GHz帯(Band 3)のLTEに対応している端末である必要があります。

楽天携帯と契約する際に,楽天携帯の提供する端末(スマートフォン)を購入する場合であればもちろんその条件をクリアしたものが提供されると考えられます。

しかしながら,いままでドコモ販売のスマートフォンまたはドコモ回線に適したSIMフリースマートフォンを利用していたと考えられる楽天モバイルの顧客にとっては,いままで利用していたスマートフォンがそのまま楽天携帯で使えない場合が多いと考えられます。

au VoLTEに対応する端末かどうかを判断する方法としては,「動作確認端末一覧|UQ mobile」で,SIM種別が「マルチSIM(nano)」となっていれば,au VoLTE対応です。マルチSIMと書いておらず,単に「nanoSIM」などとなっている場合には対応しません。

動作確認端末一覧|UQ mobile

auで販売された端末(スマートフォン)であれば数字の直前の文字が「V」であればau VoLTE対応です。「SOV34」の場合,「34」の前が「V」のためau VoLTE対応です。「L」の場合は3GがCDMA2000方式のため対応しません。

ドコモのXperia XZ SO-01Jは,UQ mobileの「動作確認端末一覧」で,SIM種別が「マルチSIM(nano)」となっているため,au VoLTE対応です。

VoLTE対応のau販売端末はSIMロック解除が必要

楽天携帯で「auが販売したau VoLTEに対応した端末」を利用する場合には「SIMロック解除」が必要となる可能性があります。

「auが販売したau VoLTEに対応した端末」のSIMロック解除には複雑な制約があるため,事前に十分な調査が必要です。

①「auが販売したau VoLTEに対応した端末」かつ「2015年4月22日以前に「発売」された端末」の場合はMVNO向けSIMロックがかけられており,かつ,SIMロック解除の対象外のため,auのMVNOでは利用することができません。具体的には「AQUOS SERIE mini SHV31」などがあります。

②「auが販売したau VoLTEに対応した端末」かつ「2015年4月23日以降2017年7月31日までに「発売」された端末」の場合はMVNO向けSIMロックがかけられており,auのMVNOで利用する場合であってもSIMロック解除が必要になります。

③「auが販売したau VoLTEに対応した端末」かつ「2017年8月1日以降に「発売」された端末」の場合はMVNO向けSIMロックが廃止されていますので,auのMVNOで利用する場合にはSIMロック解除は不要です。

楽天携帯がauのMVNO扱いということはほぼ0%と考えられるので,特別扱いでもない限りは,「auが販売したau VoLTEに対応した端末」を楽天携帯で利用するには,SIMロック解除が必要になると考えられます。

SIMロック解除のお手続き | スマートフォン・携帯電話をご利用の方 | au

ドコモ販売端末について

また,ドコモが販売した端末でau VoLTEに対応する端末(「動作確認端末一覧|UQ mobile」で,SIM種別が「マルチSIM(nano)」となっている端末)の場合,楽天携帯はドコモのMVNOではないため(ドコモのMVNOなのは楽天モバイルです。),SIMロック解除が必要です。

SIMロック解除の手続き | お客様サポート | NTTドコモ

ドコモが販売した端末はドコモのMVNO(ドコモから回線を借りている格安SIM)で使用するにはSIMロック解除は不要ですが,ドコモやドコモのMVNO以外で使用するにはSIMロック解除が必要になります。

楽天携帯は「ドコモやドコモのMVNO以外」にあたるので,ドコモが販売した端末を楽天携帯で使用するためには,SIMロック解除が必要になります。

楽天携帯サービス開始時の「SIMロック解除」に関する規制

2019年8月31日までは,SIMロック解除の条件として「契約者ご本人さまの購入履歴があること」があるため(ドコモとauで共通。ソフトバンクは調べていません。),中古ショップでSIMロック解除をしていない端末を購入しても使用することができません。

2019年9月1日からはキャリアに中古端末のSIMロック解除が義務付けられますので,楽天携帯サービス開始時には中古ショップでSIMロック解除をしていない端末を購入しても問題なくなるでしょう(SIMロック解除手数料 3,000円+税 が必要になるかもしれません)。

楽天携帯の方向性

楽天携帯はドコモ回線へのローミングが実現せず,au回線へローミングすることになりました。

au回線へのローミングは,ネットワークの特殊性(W-CDMAの3G回線がなく,4G回線のみのため,端末がau VoLTEに対応していることが必要)から,対応端末(スマートフォン)が少なくなることが予想されます。

楽天携帯としては,au VoLTEに対応し,1.7GHz帯(Band 3)のLTEに対応する端末を販売する必要がありますが,auのスマートフォンに1.7GHz帯(Band 3)のLTEに対応するものがあるくらいですので,対応端末をそろえるのは容易でしょう。対応端末をauと楽天携帯で共同で調達してコストを削減する方法も考えられなくはありません。ただし現段階で決まっているのはau(KDDI)回線によるローミングの提供ということだけですので,あくまで想像しているだけです。

楽天携帯は既存の通信キャリア(MNO)よりも低廉な料金を目指しているようですので,通信料金と端末料金の合計をどの程度に抑えることができるかが勝負となると考えられます。

※このコメントは2018年11月2日現在入手できる情報に基づいて記述されていますので,新しい手法や技術の登場により前提や結論が変わることがある点,予めご了承ください。

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