毎月の携帯料金が安くなる「格安SIM」が人気になっています。
大手通信キャリア(NTTドコモ,au,ソフトバンク)を利用されている場合,格安SIMに移行するうえで,いくつか注意点がありますので,事前に把握しておきましょう。
次のうち,1つでも当てはまる方は,格安SIMに乗り換えない方がよいでしょう。
□キャリアメール(docomo.ne.jp/ezweb.ne.jpなど)でしか連絡の取れない相手がいる。
□UQメールを使いたいが,UQメールに対応していない機種(とくにauモデルのXPERIA)しか持っておらず,新たに機種を購入する予定はない。
□機種変更の際には,豊富な選択肢から選びたい。ワンセグが必要など,こだわりがある。機種変更の際に,中古品や未使用品を中古ショップで買う,というのは抵抗がある。
同じXPERIAでも,ドコモモデルとauモデルは対応する周波数が異なるため,ドコモモデルにはドコモのMVNOの格安SIM,auモデルにはauのMVNOの格安SIMを使いましょう。そうでない場合は,利用できるエリアが狭くなる場合が多いです。
チェックリスト
1.コミュニケーション関係
□キャリアメールについて
ドコモ,au,ソフトバンクが提供しているメールサービスを「キャリアメール」といいます。ドコモは「@docomo.ne.jp」,auは「@ezweb.ne.jp」がキャリアメールのメールアドレスです。「@gmail.com」は,キャリアメールではありません。
携帯電話に迷惑メールが送られてくることを理由に,PCメールの受信を拒否する設定をしている方がいまだに多くいます。そのような方にメールを送るには,「キャリアメール」からメールを送らないと,メールが届かないことになります。
格安SIMでは,多くの場合,メールアドレスは提供されません。メールアドレスが提供されない場合,Gmailなどのフリーメールを利用することになりますが,フリーメールはキャリアメールではないため,PCメールの受信を拒否する設定をしている方には,メールを送ることができません。
メールアドレスが提供される場合であっても,多くの場合,キャリアメールではありません。キャリアメールを提供する格安SIMは,UQ mobile(auのスマホが使えますので,現在au契約中の方にはお勧めできます。)やワイモバイルに限られます。
ただし,キャリアメールが提供される格安SIMであっても,UQ mobileのように,UQメールに対応する端末が限定されている点には注意しなければなりません。
UQメール対応機種(2017年11月4日現在)
最新情報は,公式ホームページの「動作確認端末一覧」をご確認ください。
auモデル すべて非対応
Xperia XZ SOV34 (au) ×非対応
Xperia X Performance SOV33 (au) ×非対応
Xperia Z5 SOV32 (au) ×非対応
Xperia Z4 SOV31 (au) ×非対応
auでXperiaを購入された方は,残念ながら2017年11月4日現在,UQメールを利用することができません。au版のXperiaの設定画面で,MMS設定画面が存在しないことが理由です。おそらく,auの意向で,MMS設定ができないようにカスタマイズされていると考えられます。同じauであっても,SHARPのスマホはMMS設定ができるものがありますので,アップデート等による改善が望まれます。
(2018年2月22日追記)
Xperia XZ SOV34をAndroid 7.0→Android 8.0にアップグレードしましたが,MMS設定画面は追加されませんでした。相変わらず,auの意向でMMS設定画面が削除されているようです。
ドコモモデル 一部機種は対応を明記
Xperia X Performance SO-04H (docomo) ○対応
Xperia A4 SO-04G (docomo) ○対応
Xperia Z4 SO-03G (docomo) ○対応
公式ホームページでは,上記機種のUQメール対応が明記されています。UQ mobileは,auの通信回線を借りてサービスを提供しています。auモデルとドコモモデルでは,対応する帯域(バンド)が異なるため,ドコモモデルをau回線やUQ mobileで使用する場合には,auモデルを使用する場合に比べて,通信エリアが狭くなったり,通信速度が遅くなる場合がある点は留意しなければならないでしょう。
事前に対応機種の確認が必要な点が注意
事前に対応機種を確認の上,必要であれば,改めてUQメールに対応する機種を購入しましょう。その場合,UQメールを利用できるため,メール利用の面では,不便が少ないでしょう。
なお,UQメールは,Webメール機能などauのような高度な機能はありませんので,PCからキャリアメールでメールを送信したい場合には,auとの契約を継続するべきでしょう。
□LINEについて
格安SIMでは,LINEの年齢認証ができないため,LINEのID検索ができません。
LINEモバイルであれば,格安SIMでありながら唯一この問題が発生しません。
LINEを使う方は,LINEモバイルをお勧めします。
□かけ放題がない
格安SIMには,完全な電話の「かけ放題」プランはありません。電話をよくかける場合には,注意が必要です。
なお,ドコモやauのかけ放題でも,「0570」からはじまる「ナビダイアル」など,通話定額の対象外となる電話番号があることはあまり知られていませんが,知っておくとよいでしょう。
2.スマホ本体について
2018年2月22日現在,UQモバイルで販売されているスマートフォンのうち,ワンセグに対応した機種は,富士通の「arrows M3」と「arrows M4 PREMIUM」の2機種のみです。DIGNO Phoneもワンセグに対応していますが,DIGNO Phoneは「ガラホ」のためスマートフォンには含めないこととします。
ドコモやauと契約中で機種変更をする場合,ワンセグ対応のスマートフォンは選択肢がたくさんあります。しかし,UQモバイルの場合は富士通の「arrows M3」と「arrows M4 PREMIUM」の2機種のみとなっています。これらの機種は2~4年前にキャリアで販売されていたスマートフォンと同じくらいの性能しかないため,現在販売されているキャリアのフラグシップモデルと比べると性能は大きく劣ることに注意しなければなりません。とはいえ,通話やメール,Web閲覧など使うには問題ない性能です。
ドコモやauなどのキャリアでは,通信契約なしのスマートフォン単体での購入をすることができませんので,ドコモやauで販売されているスマートフォンを格安SIMで使うには,中古スマホショップなどで中古品や未使用品を購入する必要がありますので注意しましょう。
格安SIMを使い続けるのであれば,今後機種変更の際には,中古ショップなどで本体を調達してくるか,UQモバイルなどの格安SIMの会社から安いスマートフォン(ワンセグが必要など,条件をつけると,機種の選択肢があまりない)を購入する必要があります。
3.SIMロック解除
auのVoLTE対応スマートフォンをUQモバイルなどの格安SIMで使う場合には,「SIMロック解除」が必要です。解約前に「my au」のページからSIMロック解除手続きをした場合のみ手数料無料です。解約前のauショップでのロック解除および解約後のロック解除は3,240円(税込)の手数料がかかりますので注意しましょう。
なお,VoLTE対応スマートフォンのうち,SHV31など一部のモデルはSIMロック解除自体に対応していないため,UQモバイルなどの格安SIMで一切使用することができません。
なお,2017年8月1日以降に「発売」された機種には「MVNO向けのSIMロック」が「なし」になっているため,auで購入したスマートフォンをau回線の格安SIMで使用するにあたってはSIMロック解除が不要です。
4.その他
□契約中のキャリアの違約金
2年契約の違約金 (9500円)
2年契約の更新月以外での解約は,9500円(税抜)の違約金がかかります。(※最近,auの更新月が2ヶ月間になっています。)
分割払いの残債 (0~数万円)
スマートフォン本体の分割代金が残っている場合は,一括で清算するか,分割払いを続けることになります。月々サポート(ドコモ)や毎月割(au)などは,解約と同時になくなりますので,本来の高額な端末代金を負担することになります。例えば,本体代金が月3000円,毎月割が月2000円の場合,毎月の端末代金の支払いが実質1000円になります。しかし,毎月割がなくなると,3000円×残りの支払い回数を丸々支払う必要がありますので注意が必要です。スマートフォンの分割払いの終わるタイミングで格安SIMに乗り換えることを検討するほうが良いでしょう。
その他購入サポートなど
購入時にスマートフォン本体の価格を割り引く代わりに,一定期間(1年や2年など)の間に解約した場合に,別途違約金を支払う必要がある契約をしている場合があります。解約前に,キャリアのコールセンターに問い合わせる必要があります。
□手数料
MNP手数料 3000円+税
□通信速度
格安SIMは,ドコモやauに比べて,通信速度が遅くなる傾向にあります。口コミを調べる必要があるでしょう。
□サポートについて
今まで契約していたキャリアのキャリアショップ(auであれば,auショップ)ではサポートが受けられないというデメリットがあります。格安SIMでは,コールセンターなどに電話をかけてサポートを受けることがメインになるでしょう。一部の格安SIMでは,店頭窓口を用意していることがありますので,事前に調べておくとよいでしょう。
□キャリア決済について
毎月の通信料金と合算で請求される「auかんたん決済」などのキャリア決済は利用できなくなります。
クレジットカードや,ブランドデビット(VISAデビットカード,JCBデビットカード),コンビニなどで購入できるプリペイドカード(Google Play ギフトカード),おさいふPonta(プリペイドJCBカード)などを利用して決済することになります。