テレビの電波を用意する
この記事は,アンテナを立てないでnasneを利用する方法として,フレッツ光の「フレッツ・テレビ」,光コラボ事業者が提供するテレビサービス,J:COMのケーブルテレビ「J:COM TV」などを検討する上で参考となる情報を整理したものです。
アンテナを設置して受信する方法
nasneは,テレビ放送を視聴・録画するレコーダーです。そのため,何らかの方法でテレビ放送の電波を受信し,同軸ケーブル(アンテナケーブル)を用いて,nasneに入力する必要があります。
アンテナを屋根に設置すれば毎月のコストはかかりません。しかし,外観が損なわれたり,台風などによってアンテナが倒れたり,天候によっては受信状況が変化しブロックノイズが発生するという欠点があります。
放送波を発信する電波塔に近い強電界の地域であれば,外壁に「平面アンテナ」を設置する方法があります。強電界の地域であれば,室内に「室内アンテナ」を設置する方法もあります。「平面アンテナ」や「室内アンテナ」は地上デジタル放送のみ対応します。
なお,BS・CSは衛星からの電波が弱いため,アンテナを向ける方向がシビアで,かつ窓ガラスやカーテンなどがあるだけで受信状況に影響が出るため,屋外にパラポラアンテナを設置する以外は現実的ではないでしょう。
アンテナを設置しない場合には,フレッツ・テレビ(フレッツ光のオプションサービス)などの光回線を利用したテレビサービスや,ケーブルテレビ(J:COMなど)と契約する必要があります。
「フレッツ・テレビ」と「J:COM TV」の比較
0.まず最初に結論から
テレビサービスは,フレッツ光などの光回線,またはJ:COMなどのインターネット回線のオプションとして契約するのが基本になります。そのため,テレビサービスを利用する前提として,テレビサービスを提供している光回線,またはJ:COMのインターネット回線などの契約が必要になります。
結論としては,地デジ・BS・CS(プレミアムサービスを除く)を nasne で視聴・録画したい場合は,フレッツ光の「フレッツ・テレビ」または光コラボのテレビサービスを選びましょう。
地デジのみ nasne で録画できればよい場合は,J:COMも選択肢に入ります。
auひかりはテレビサービスはありません。ただし「J:COM NET 光 1Gコース on auひかり」にテレビサービスを組み合わせれば,地デジのみ nasne で録画できます。
nasneで,地デジ・BS・CS(プレミアムサービスを除く)の3つすべてを視聴・録画したい場合には,フレッツ光の「フレッツ・テレビ」または「光コラボ」の回線のテレビサービスを選ぶとよいでしょう。(一部地域限定で提供されている光回線で,地デジ・BS・CSをパススルー方式で配信しているテレビサービスでも可。)
nasneで,地デジのみ視聴・録画したい場合には,J:COM TV でもよいでしょう。ただし,J:COMで地デジ単独で契約することは困難です。多チャンネル契約(STB設置)を受け入れることができるのであれば,選択肢に入ります。J:COM TV の場合,nasne でBS・CS放送を視聴・録画することはできないことに注意が必要です。
1.フレッツ光の「フレッツ・テレビ」
「フレッツ・テレビ」では,地上デジタル放送・BS放送(無料放送)が750円(税抜)です。地上デジタル放送・BS放送・CS放送(プレミアムサービス以外)はパススルーでの配信のため,nasneで直接録画することができます。
なお,「ひかりTV」は,パススルー方式ではないため,nasneで利用することはできませんので注意しましょう。
NTTが提供するフレッツ光の「フレッツ・テレビ」と,ドコモ光・SoftBank光・So-net光・@nifty光
などの「光コラボ」の提供するテレビサービスの内容は同じものになります。
フレッツ光・光コラボのテレビサービスの名称は,各社で「フレッツ・テレビ」「ドコモ光テレビオプション」「ソフトバンク光テレビ」「So-net 光 コラボテレビ」「@nifty光
テレビ」などと異なりますが,サービス自体は「フレッツ・テレビ」と同じものです。
光コラボとは
フレッツ光の場合,光回線とプロバイダは別会社の契約になります。光回線はNTTと契約します。プロバイダはOCN・BIGLOBE・So-netなどの中から好きなものを選んで契約します。
「光コラボレーション」(光コラボ)とは,NTTから光コラボ事業者に卸売された光回線です。光コラボの場合,プロバイダ(光コラボ事業者)が光回線とプロバイダをセットで提供します。
光コラボで利用する回線自体やテレビサービスの内容は,NTTのフレッツ光と同じです。
セット割引について
光回線(テレビサービス) | おすすめの方はこんな方! |
---|---|
フレッツ光(フレッツ・テレビ) | NTTと直接光インターネット回線を契約したい方 プロバイダーを自由に変えたい方 |
ドコモ光(ドコモ光テレビオプション) | 【ドコモ光セット割】 NTTドコモ のスマートフォンの料金から規定の金額が割引 割引額は料金プランによって異なる |
So-net 光コラボレーション(So-net 光 コラボテレビ) | 【auスマートバリュー】 au (KDDI) のスマートフォンの料金から規定の金額が割引 割引額は料金プランによって異なる ※So-netの他の光回線プラン・NURO光は対象外 |
SoftBank光 |
【おうち割 光セット】 ソフトバンク のスマートフォンの料金から規定の金額が割引 割引額は料金プランによって異なる |
@nifty光 |
【auスマートバリュー】 au (KDDI) のスマートフォンの料金から規定の金額が割引 割引額は料金プランによって異なる ※@niftyの他の光回線プランは対象外 |
OCN光 |
なし |
※一般的にセット割の適用には光インターネット回線と光回線電話の2つの契約が必要です。
※auスマートバリューが適用となるフレッツ光・光コラボ系の回線としては,2017年11月に開始された「So-net 光コラボレーション」が初めてです。NTT系の光回線を利用するにもかかわらず,au (KDDI)とのセット割引が適用されます。
2.J:COM TV
J:COMでは,地上デジタル単独での契約はパンフレットには掲載されていません(一部地域で存在するようです)。
そのため,原則として多チャンネル契約の必要があります。
J:COM TV では,地上デジタル放送のみがパススルーでの配信のため,nasneで直接録画することができるのは,地上デジタル放送のみです。
J:COM TV のBS放送・CS放送は,トランスモジュレーション方式です。そのため,BS放送・CS放送の視聴・録画は,J:COMからレンタルされるSTB(セットトップボックス)を経由する必要があるため,nasneで直接BS放送・CS放送の視聴・録画をすることはできませんので注意してください。
セット割引について
J:COMは,auスマートバリューの適用対象です。
J:COMの指定サービスに加入すると,auのスマートフォンの利用料金から規定の金額が割り引かれます。割引額は料金プランによって異なります。
auスマートバリューの適用には,J:COM TV・J:COM NET・J:COM PHONE(固定電話・IP電話)のうち,いずれか2サービス以上の加入が必要です。
インターネット回線について
J:COMは同軸ケーブルを利用したインターネット「J:COM NET 320M」などと,auひかりの回線を利用したインターネット「J:COM NET 光 1Gコース on auひかり」の2種類のインターネット回線を提供しています。
「J:COM NET 320M」は同軸ケーブルを利用したインターネットのため,その性質上,上り速度(データ送信速度)が10Mbpsにとどまります。大容量のデータを送信する際に時間がかかる点がデメリットになります。
「J:COM NET 光 1Gコース on auひかり」は「auひかり」の回線を利用したインターネットのため,送信・受信ともに「1Gbps(=1000Mbps)」ですが,月額料金が少し高くなります。
「J:COM NET 320M」のメリットとしては,同軸ケーブルの宅内配線がスター配線の場合には,壁にアンテナ端子がある場所であれば,どこでもケーブルモデムを設置することができる点です。「J:COM NET 光 1Gコース on auひかり」の場合には,引き込み場所からONU設置場所まで光ファイバーケーブルを配線する必要があります。
3.auひかり
残念ながら,地上デジタル放送(パススルー方式)のサービスはありません。
例外として「J:COM NET 光 1Gコース on auひかり」に「J:COM TV」のテレビサービスを組み合わせるという方法があります。この場合,インターネットはauひかりの光回線で,テレビ・電話はJ:COMの同軸ケーブルでのサービスになります。この場合,nasneで直接録画することができるのは,地上デジタル放送のみです。
「J:COM NET 光 1Gコース on auひかり」に「J:COM TV」のテレビサービスを組み合わせた場合でも,J:COM TVと同様に,nasneまたはブルーレイレコーダーで,BS・CSは録画できませんので,ご注意ください!
4.一部地域限定の光回線サービス
4-1.eo光(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・福井)
「eo光」は,auスマートバリューの適用対象です。
auスマートバリューの適用には,「eo光ネット」+「eo光電話」の契約が必要です。
「eo光」でも,地デジ・BSをパススルーで視聴することができます。
(→BSパススルー|eo光テレビ)
サービス提供地域は,大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・福井です。
他社に比べて低価格なのが特徴ですので,上記エリアの場合,eo光をご検討ください。
4-2.「コミュファ光」(中部)
「コミュファ光」(中部)は,auスマートバリューの適用対象です。
auスマートバリューの適用には,「光ネット」+「光電話」の契約が必要です。
「コミュファ光」でも,地デジ・BSをパススルーで視聴することができます。
(→コミュファ光テレビ)
5.比較表(参考)
フレッツ・テレビ | J:COM TV | |
---|---|---|
地デジ | ◎パススルー(nasneで録画可能) | ◎パススルー(nasneで録画可能) |
BS | ◎パススルー(nasneで録画可能) | ×トランスモジュレーション (STBが必要)(nasne不可) |
CS(プレ以外 | ◎パススルー(nasneで録画可能) | ×トランスモジュレーション (STBが必要)(nasne不可) |
CSプレミアム | ×専用チューナーが必要 (nasne不可) |
×トランスモジュレーション (STBが必要)(nasne不可) |
設置機器(通信) | ・ONU1台のみ (NET・電話・TV) |
・ケーブルモデム(NET) またはONU(auひかりコースの場合) ・VoIPモデム(PHONE) |
設置機器(STB) | 地デジ・BS・CS(プレミアム以外)はSTBの設置が不要 CS(プレミアムサービス)は専用チューナーが必要(2年間無料・以降900円/月) |
地デジのみ,STB不要で視聴可能 BS・CSはTV1台ごとにSTB設置が必要 |
テレビの単独契約 | テレビ単独契約は不可 必ず光インターネット回線の利用料が必要 |
地デジ単独コースは契約困難 原則多チャンネル契約必要(STB設置) 多チャンネル契約であれば単独契約可能 |
テレビ料金 | 750円/月(税抜) CS放送は追加料金が必要 別途,インターネット回線利用料必要 |
単独契約だと高額のため,インターネットとセットで契約が現実的 |
※nasneで録画可能な場合,市販のブルーレイディスクレコーダーでも録画可能です。
※STBを使用する場合には専用のレコーダー(有料でレンタル)が必要で,nasne や市販のブルーレイディスクレコーダーでは録画できませんので注意が必要です。
※スマートフォンのセット割引の適用のために,電話サービスの契約をNTTから切り替える必要があります。インターネット回線を利用したIP電話に切り替えると,電話機とONUまたはVoIPモデムを直接接続する必要があります。壁の既設のモジュラージャック(電話線差込口)を利用したい場合には,別料金で「保安器折り返し工事」を行う必要があります。